事務所ブログ

2014.04.16更新

目黒駅近くのリベラルアーツ法律事務所の弁護士の松木隆佳です。

昨日は,幼い少女の頭上に,街路樹の枝が落下し,重体となるという痛ましい事故がニュースになっていましたね。
このような事故があると,家族と外を歩くことも,家族がいる私としては不安になります。
この事故を教訓にして,安全対策が講じられていくことが期待されます。
けがをされた方が早く快方に向かうことをお祈りいたします。

さて,今回のような事故がある場合,誰がどのような責任を負うのでしょうか。
今回の事故は,管理者が民間のスーパーということでした。
そこで民法を見てみます。

民法717条
1 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは,その工作物の占有者は,被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし,占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは,所有者がその損害賠償をしなければならない。
2 前項の規定は,竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 (略)

今回の事故では,民法717条の「竹木の栽植又は支持に瑕疵」があったと言えれば,管理者であった民間のスーパーが損害賠償責任を負うことになるでしょう。

どのような場合に「竹木の栽植又は支持」の瑕疵があるといえるかについて,竹木の下又は付近を人が通常通行する場所においては大枝が腐朽するなどして通常程度の風によって切断落下する蓋然性があるようになったときは瑕疵があるとした東京高裁の判決があります。

したがって,本件では,報道の限りでの判断ですが,民間スーパーが被害者に損害賠償責任を負うということになるでしょう。

仮に,管理責任者が国や都道府県などの場合,国家賠償法2条の問題になります。